エンジニアは意外と英語を使うシーンが多くあります。普段からエラーメッセージを読んだり、最新のIT技術の情報を収集したりする人も多いでしょう。
一般的に、エンジニアに必要なのはリーディングと言われています。
しかし、近年は外国人ITエンジニアの数が増えています。実際に2023年時点の外国人ITエンジニアの数は約8.5万人です。
今後も、外国人ITエンジニアとのコミュニケーションを取る機会の増加や上司・顧客への報告・連絡として英語を使ったやり取りが増えていくことが考えられます。
そのためリーディングだけでなく、英語のライティングも求められるでしょう。
私は現在IT部門で働いており、外国人ITエンジニアと共にプロジェクトを進めた経験があります。
また、大学生時代に3年間でTOEICスコア300点台から800点台まで英語力を鍛えました。専攻は英語の学部ではなく、隙間時間を有効的に使って英語の勉強をしていきました。
この記事では、特にビジネスシーンのメールで使う定型文と活用方法についてご紹介します。
よく使う定型文を知り、短時間で英語のメールを書けるようになりましょう!
記事の要約
- グローバル化を見据えて、エンジニアも英語メールを書けるとメリットが大きい
- 辞書登録などで定型文を使いこなすと、英語メール作成を効率化できる
この記事のライター
- 金融機関のIT部門にて対個人向けアプリに携わる(主にPM業務)
- be動詞も分からない状態から約3年で英検準1級取得 & TOEIC L&Rスコア 815
- AWS SAA、基本情報技術者
この記事はこんなITエンジニアにおすすめ!
- 英語でのメールやチャットの機会が増えてきている人
- 英語に苦手意識がある人
- 今後、英語を使ってキャリアアップしたい人
将来のキャリアのために英語メール作成スキルは必要
「エンジニアに英語力は必要ない」と、どこかで聞いたことはありませんか?
私としては、半分賛成で半分反対、という意見です。
賛成な理由は、エンジニアにとって真に必要な能力は「問題解決能力」や「コミュニケーション能力」であり英語力よりも必要だと考えているからです。
もしあなたが、エンジニアになって間もないのであれば、英語でメールが書けるようになるよりも先に、プログラミングの基礎やシステム開発の流れを学ぶことが最優先になります。
海外のドキュメントを読むために最低限のリーディングスキルを身につけるか翻訳を駆使すれば、普段の業務に支障はありません。
一方で、エンジニアに英語でのメールを書けるようになっておくべきと考えている理由が3つあります。
その理由は次の3つです。
- グローバル化が進んでいる
- 翻訳を使う手間が減る
- キャリアアップを狙える
あなたがある程度エンジニアとして経験を積んでいるのであれば、今後のキャリア戦略として英語を学ぶ価値があります。
グローバル化が進んでいる
グローバル化に伴い、今まで以上に英語を使う頻度が増えてくると考えられています。
ビズメイツの【ITエンジニアマネージャーの英語学習に関する実態調査】によると約90%の人が、今後英語を使う機会が増えてくると回答しています。
背景として日本のIT人材不足に伴い、オフショア開発をする大手企業や国内の外国人ITエンジニアの数が増えてきているためです。
特にオフショア開発では東南アジア地域を中心に増えてきています。2023年版のオフショア開発白書によると、ベトナム、フィリピン、インドが上位に来ています。
フィリピンの公用語は英語です。ベトナムとインドの公用語は英語ではありませんがグローバルな案件では英語が共通言語になります。
そのため今後も英語の重要性が増していくことが考えられるでしょう。
翻訳を使う手間が減る
英文メールでの定型文を覚えると翻訳を使う手間を減らせます。
エラーメッセージの理解や英語メールの作成等で翻訳を普段から使う人も多いのではないでしょうか?
英語メールに関してはテンプレの英文を用意しておけば、わざわざ翻訳をする必要はありません。
また、AIや翻訳の欠点としてメール前後の文脈がわからない点や英単語の翻訳が不自然な点があります。最近は翻訳技術が向上していますが、翻訳サイトとメールを行ったり来たりするのも手間ですよね。
英語メールの作成に慣れることで、効率的にメール作成をできるようになります。
キャリアアップを狙える
英語を使えると今後のキャリアや年収アップを期待できます。
実際にヒューマンホールディングスの調査では、英語を使える人の方が平均で100万円の差が出るとわかっています。
英語を使えることで海外案件にも挑戦しやすくなるためです。
また、将来はエンジニアからプロジェクトマネージャーにステップアップしたいなら、より重要になっていきます。
プロジェクトマネージャーにとっての英語の必要性は別の記事をご覧ください。
グローバル化が進むにつれて、より多くのエンジニアが外国人クライアントや同僚とのコミュニケーションに英語を使うことになります。
メールは情報伝達手段として今後も使われることでしょう。
しかし、英語でのメール作成に不安や課題を感じている人も多いはずです。
ここからは、英文メール作成が苦手な人向けに英語のビジネスメールで役立つ定型文やフレーズ、メール作成のポイントを紹介します。
フォーマルな英語を使う
ビジネスシーンでは「フォーマルな英語」が求められます。日常会話で使う「カジュアルな英語」は避けるようにしましょう。
特に、送る相手が社外の場合、フォーマルな英語を使っていないと悪い印象を与えてしまいます。
スムーズにメールをやり取りするために、フォーマルなビジネス英語を覚えていきましょう。
簡単な例をいくつかご紹介します。
同じ意味でも、フォーマルな英語を使うように意識しましょう。
日本語でもビジネスシーンで社外の人や目上の偉い人に対してのメールで、「ヤバい」や「ウケる」といった言葉は使いませんよね?英語でのメールにおいても同様です。
またフォーマルで丁寧なトーンを保つために断定的な表現を避け、柔らかい表現を使うこともポイントです。
例として、CanとCouldでご紹介します。
少し大げさですが、Can〜?は「〜をする能力がありますか?」と思ってください。
「Can you send me the files?」は「ファイルをメールで送れる?(笑)」や「あなたはファイルをメールで送る能力があるの?」となるイメージです。
具体例「ファイルをメールで送ってもらえますか?」
OK : Could you please send me the files (at your earliest convenience) ?
NG : Can you send me the files?
このように、配慮ある表現を使うことで、ビジネスの場にふさわしいメールになります。
基本構成と注意点
英語であっても、日本語のメール作成と構成は変わりません。
簡潔な題名、宛先、本文への導入、締めの言葉、署名といった基本的な内容が抑えられていれば十分です。
具体的に、テンプレートで使える例文を見ていきましょう。
件名は用件がすぐに分かるように
当たり前ですが、メールの用件がパッとみて分かるように簡潔に書きましょう。日本語のメールであっても何についてのメールのなのか、すぐに分かる方が助かりますよね。
具体例
- Inquiry about ~(〜のお問い合わせ)
- Request for ~(〜のご依頼)
- Change of ~ (〜の変更)
- Report of ~(〜のご報告)
相手からの返信や対応を急ぐ場合は、件名を目立つようにしましょう。日本語で使ったことがあるかと思いますが、件名に【緊急】や【至急】、【重要】等を英語でも使えるようになると便利です。
具体例を見ていきましょう。
具体例
- 【URGENT】 (大至急)
- 【ASAP】 (急ぎ対応)
- 【IMPORTANT】 (重要)
使い分けのイメージとしては、今直ぐに対応して欲しい場合は【URGENT】にしましょう。直訳すると、「緊急」や「至急」といった意味のため、非常に緊急性が高い印象を与えます。
一方で緊急ではないが、なるべく早く対応してもらいたい場合は【ASAP】を使うと良いです。
【ASAP】はas soon as possibleの略称です。「可能な限り早く≒なるはやで」という意味のため、急いでいることは伝わりますが、【URGENT】ほどではないと捉えられます。
英語メールに限らず、あまりに多用しすぎると計画性の無い人だと思われてしまう可能性があります。そこは英語力ではなく、スケジュール管理能力として意識していきましょう。
挨拶は相手との立場に応じて使い分け
メール冒頭の挨拶は相手に応じて適切なものを選びましょう。相手の名前が分かるならDear Mr./Ms. [苗字]、相手の名前や担当者が分からない場合はTo whom it may concernにしておくと無難です。
具体例
- 「Dear Mr./Ms. [苗字],」(〜様)
- 「Dear [苗字],」(〜さん)
- To whom it may concern(ご関係者様)
使い分け方として、社外の人や初対面の人にはDear Mr ./Ms.を使うようにしましょう。
Dear [苗字]はある程度親しい人や上司に対して使うと良いです。また、気の知れた先輩や部下、同僚であればもっとカジュアルにHi [苗字]でも問題ありません。
本文の導入は返信なら感謝の言葉、連絡を取るなら用件を簡潔に
本文の導入では、返信かこちらから連絡を取るかで使い分けましょう。
返信として送る場合は簡潔にお礼を述べます。
返信する場合の具体例
- Thank you for your email.(メールありがとうございます。)
- Thank you for your inquiry.(お問い合わせありがとうございます。)
- Thank you for contacting me.(連絡ありがとうございます。)
もっと感謝を伝えたい場合は「Thank you」から「I appreciate」に置き換えると、大変感謝していることが相手に伝わります!
反対に、こちらから連絡を取る場合は件名と同様に簡潔に何のメールか分かるようにしましょう。
こちらから連絡を取る場合の具体例
- Regarding inquiries about ~.(〜のお問い合わせにてついてです。)
- Regarding the report of ~. (〜のご報告についてです。)
- Regarding changes to ~.(〜のご変更についてです。)
- Regarding the request for ~. (〜のご依頼についてです。)
締めの言葉はメールの返信の依頼や相手に伝えたいことを入れる
本文の締めの言葉では、相手にとって欲しいアクションや今後の関係性を意識した書き方をしましょう。例えば、メールの内容に返信して欲しいことを締めの言葉にしっかりと入れておくと、相手にどのような対応をして欲しいのか伝わりますよね。
次に、具体例を見ていきましょう。
具体例
- I look forward to hearing from you (soon).(ご連絡をお待ちしております)
- Thank you for your continued support.(引き続き、よろしくお願いします)
- Please feel free to contact me at any time.(いつでもお尋ねください)
署名は決まり文句を使う
最後に署名です。ただ、署名は決まり文句のようなものなので種類は少なく、覚えるのも簡単です。具体例を見ていきましょう。
具体例
- Sincerely, [自分の名前](真心を込めて)
- Best wishes, [自分の名前](ご多幸をお祈りします)
- Best regards, [自分の名前](よろしくお願いします)
もっとも丁寧なのはSincerelyです。とても目上の人に送る時に使うくらいで大丈夫でしょう。基本的には、Best regardsで問題ありません。
Best wishesとBest regardsの違いは少しあります。
Best wishesはメールの内容が相手に関することの時に使うようにしましょう。例えば、相手からの問い合わせや相手からの相談を受けた時です。反対に、Best regardsは自分のことに関するメールの時です。
どちらを使うべきか悩んだら、Best regardsを使っておきましょう。
テンプレは辞書登録をすると便利(説明画像付き)
実際に英文メールを頻繁に書く場合は、特によく使うフレーズは辞書登録しておくことをお勧めします!
辞書登録をしておくと、少ないタイピングでメール作成をすることができるため非常に便利だからです。
Macの場合
- メニューバーの「あ」や「A」マークにカーソルをあわせて、右クリックし、「ユーザー辞書を編集」をクリック
- よく使うフレーズを辞書に登録(左がキーボード入力、右が入力時に表示されるフレーズ)
- 辞書登録したフレーズを呼び出す入力をする
Best regardsは「br」で登録されているため、「br」と入力した時に予測変換で表示されます。
Please feel free to contact me at any time. も同様に登録したキーボード入力の「pff」で予測変換されます。
Windowsの場合 ※筆者がMacしか持っていないためテキストでご説明します。
- 画面右下の言語マーク(「A」や「あ」)にカーソルを合わせて右クリック
- ユーザー辞書登録をクリック
- よく使うフレーズを、自分が覚えやすい&使いやすい呼び出し方で登録
(番外編)チャットのコツ
番外編として、チャットでコミュニケーションをとる場合のコツをご説明します。
SlackやMicrosoft Teamsをコミュニケーションツールとして導入している職場も多いのではないでしょうか?
メールと異なり、チャットではよりカジュアルなります。フォーマルな英語よりもカジュアルな英語を使う機会が多くなりがちです。
チャットを使う際に意識しておくポイントを3つご紹介します。
主語や動詞が省かれることがある
例えば、質問がある場合にメールではI have a quick question.と書くのに対して、チャットではA quick question.と書かれることがあります。
意味はどちらも「質問があります」ですが、チャットの場合は主語の「 I 」と動詞の「 have 」の部分が抜けていますよね。
このようにチャットでのやり取りでは主語や動詞が省かれることがあります。
文章が短い
チャットではメールよりもカジュアルな表現が使われがちです。
そのため、チャットでは1文ずつの単語や言い回しが短くなることがあります。
例えば、「〜を理解しました」相手に伝える場合を考えます。メールの場合はI understand about 〜.ですが、チャットではI got it.となります。
どちらも「わかった」、「理解した」という意味ですが、チャットの方がくだけた印象ですよね。
略語が使われる
最後に、チャットでは略語が使われることが多くあります。略語が使われるのもチャットがメールよりもカジュアルなコミュニケーションを取れるツールだからです。
例として、thxやFYIなどがあります。thxはThank you.(ありがとう)の略で、FYIはFor your information(ご参考までに)の略のです。
もし実務で他の略語を見る機会があれば、調べてみましょう!
さらにスキルを磨くためのステップ
エンジニアにとって、英語でのコミュニケーションスキルを磨くことは、今後のキャリアに大きく役立ちます。
以下の方法で、ライティングスキルをさらに向上させてみてはいかがでしょうか?
定型文を日常に取り入れる
今回紹介したフレーズを日々の業務に取り入れてみてください。メールのテンプレートとしてあらかじめ登録したり、よく使うフレーズを辞書登録したりと、少しずつ実践してみてはいかがでしょうか?
英語への苦手意識を和らげるだけでなく、メール作成の効率化にも役立てることができます。
オンライン英会話の活用
オンライン英会話は英語力を鍛えるための有効な手段です。忙しい社会人でも自分の好きな時間に英会話をできるので無理なく続けられることができます。
また、ビジネス英語のオンライン英会話に参加すれば、より実践的な英語を覚えることができますよ。
TOEIC S&Wに挑戦する
自分の英語スキルを確かめてみたい人はTOEIC S&Wを受けてみましょう。実務で使うビジネス英語に特化したTOEIC試験のライティングとスピーキングの試験です。
有名なTOEIC L&Rと比較して受験者数も少ないため、今のうちに受験しておくと「英語を話せる・書ける人材」として、他の人と差別化できます。
基準として、スコアが120〜130あるとビジネス英語を話せる・書けると言えます。まずはスコア120を目指してみてはいかがでしょうか?
まとめ
本記事では、エンジニアが英語のメール作成をする際の基本構成と実務で役立つシーン別フレーズ、さらにメールスキルを向上させるための方法についてご紹介しました。
英語でのメールスキルは、グローバルなプロジェクトの成功に欠かせない要素です。
また、今後のあなたのキャリアアップにも役立つスキルです。
今後の業務で、今回紹介したフレーズやポイントを取り入れ、スムーズにメール作成をできるようになりましょう!
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