プロジェクトマネジメントにおいてコミュニケーション能力は非常に重要です。
海外企業・海外メンバーとやり取りをするPM(プロジェクトマネージャー)は、日頃から「英語」の重要性を感じる人も多いでしょう。
実際に、PMにとって英語はますます重要になってきています。
日本のIT人材不足によって、2013年から2023年の10年間で外国人ITエンジニアの人数は3倍に増えています。
そのため、今後も英語を使ったやり取りが増えていくことが考えられます。
プロジェクトをスムーズに進めるためにも、ミスコミュニケーションは避けたいですよね。
私は現在IT部門で働いており、外国人ITエンジニアと共にプロジェクトを進めた経験があります。
大学生時代には3年間でTOEICスコア300点台から800点台まで英語力を鍛えました。
英語の専攻ではなく、隙間時間を有効的に使って英語の勉強をしていきました。
この記事では、PMにとっての「英語」の価値を確認し、具体的なメリットや勉強方法についてご紹介します。
今後のキャリアアップや英語勉強のモチベーションアップにつながる内容になっています。
PMにとって英語スキルは必須ではありません。しかし、英語を使えることのメリットは非常に大きいです!
記事の要約
- グローバル化を見据えて、プロジェクトマネージャーは英語を学んでおくメリットが大きい
- キャリアアップをしたいなら、英語のライティング・スピーキングを鍛えておこう
この記事のライター
- 金融機関のIT部門にて対個人向けアプリに携わる(主にPM業務)
- be動詞も分からない状態から約3年で英検準1級取得&TOEIC L&Rスコア 815
- AWS SAA、基本情報技術者
この記事はこんな人におすすめ!
- これからPM(プロジェクトマネージャー)として活躍していきたい人
- PMとしてグローバルな案件に携わりたい人
- 今後、英語を使ってキャリアアップしたい人
プロジェクトマネージャーは期限内に成果を達成するためにチームをまとめる人
PM(プロジェクトマネージャー)にはたくさんの業務があります。
プロジェクトマネジメントの教科書とも呼ばれる、PMBOKガイドでは10の知識エリアで分類されています。
また、プロジェクトマネージャーの仕事は「船長」に似ています。
顧客(クライアント)から預かった荷物(要件)を、期限内に、品質を保ったまま、船員(プロジェクトメンバー)と協力して目的地(リリース日)までに届ける(納品)する必要があります。
プロジェクトマネージャーにはマネジメントスキルが求められる
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを成功に導くために、マネジメントスキルが求められます。
PMBOKにあるスケジュール管理とリスク管理を例に具体的な仕事内容を紹介します。
スケジュール管理ではプロジェクトメンバーや社内外の関係者(=ステークホルダー)の作業状況を確認します。
各タスクの進捗状況や遅延が発生していないか確認してプロジェクトの納期を守れるように進めていくことはPMに求められる仕事です。
また、リスク管理では不確定な事象に対して、分析・対応方法の検討をして、プロジェクトの成功を阻害するものを取り除きます。
万が一、リスクが重大な問題となった場合はプロジェクトが遅延するどころか、中止となるかもしれません。
このように、プロジェクトマネージャーは広い視野かつさまざまな観点で物事を見て、プロジェクトを成功に導くための重要な役割を担っています。
プロダクトマネージャーやプロジェクトリーダーとは少し異なる役割
PM(プロジェクトマネージャー)と似通った言葉にPL(プロジェクトリーダー)やPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)があります。
言葉こそ似ていますが、3つとも完全に異なった役割・業務です。
明確に異なる点として、責任範囲の違いがあります。
先ほどのPM≒船長を例に、違いを見てみましょう。
また、プロジェクトマネージャーはPMと略されることがありますが、混同しやすい役割が他にもあります。それはプロダクトマネージャーとプログラムマネージャーです。
こちらも、プロジェクトマネージャーとは完全に異なった役割・業務です。
さらに一般的には区別されていますが、一部の人はSM(スクラムマスター)とプロジェクトマネージャーを混同していることがあります。
スクラムマスターとは、スクラム手法で開発を進めるチームにおいて、メンバーやプロジェクト関係者がスクラムの理論を理解し、実施することを手助けする仕事です。
プロジェクトマネージャーは支配型リーダーシップ、スクラムマスターはサーバント(奉仕型)リーダシップと言われています。
主な資格はPM、PMP、P2M
プロジェクトマネージャーに関する資格は次のようなものがあります。
有名なものは PM(プロジェクトマネージャー)とPMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)です。
それぞれの資格保有者数を見ていきましょう。
- PM合格者数 ・・・ 約30,000人
- PMP合格者数 ・・・ 約40,000人
データ引用:IPAのPM合格者数から推計、PMI日本支部アニュアルレポート2022
両方の資格を保有している人も考えられますが、日本にいるプロジェクトマネージャーの数は約6〜7万人と言えるでしょう。
人材派遣会社のヒューマンリソシアの調査によると、日本のIT人材の数は約144万人と言われています。
そのためプロジェクトマネージャーは全体の約4%であり、IT業界の中でも貴重な人材です。
デメリットは海外情報の収集や海外案件に対応できないこと
プロジェクトマネージャーに必要なスキルはコミュニケーションスキルや俯瞰力、問題可決能力です。
そのため、プロジェクトマネージャーに英語スキルは必須ではありません。
日本人のメンバーとだけでプロジェクトを進める場合は、日本語だけで問題なく対応できるでしょう。
しかし、プロジェクトマネージャーとして英語ができない場合には次のようなデメリットが挙げられます。
- 海外から発信される最新の情報にアクセスできない
- 海外企業や外国人メンバーがいる案件に挑戦しづらい
- キャリアの幅が狭まってしまう
海外から発信される最新の情報にアクセスできない
AIやクラウドコンピューティング(AWS、Azure等)といった多くの最新IT情報は、英語圏の国から発信されています。
そのため、詳細な内容を正確に理解するのに、最新情報が翻訳されることを待たなければなりません。
変化の激しいIT業界において、このタイムラグがプロジェクトにも影響を与えることがあります。
また、2023年版のIMD世界デジタル競争力ランキングで日本は総合32位となっています。
トップ3は1位アメリカ、2位オランダ、3位シンガポールと英語圏が中心なことを考えると、今後も最新IT情報の発信は英語中心になるでしょう。
海外企業や外国人メンバーがいる案件に挑戦しづらい
英語が必要となるシーンとして、英語での会議や外国人エンジニアとのコミュニケーションが挙げられます。
例として、あなたが英語での会議に出ていることを想像してみてください。
あなたが英語が話せず、何も発言できなかった場合、あなたは会議に出席した意味がありません。
また、内容を十分に理解できていなければ、今後のプロジェクト進行にも影響を及ぼすリスクがあります。
外国人メンバーとのやり取りでも英語は必要です。
現在は日本語だけでプロジェクトを進めている人も将来は必要になるかもしれません。
実際に、厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、情報通信業で働く外国人の数は2013年2.8万人から2023年8.5万人に増えています。
キャリアの幅が狭まってしまう
キャリアの観点からも英語の重要性が高まっていることは見過ごせません。
背景は、グローバル化や日本のIT人材不足です。
日本企業であってもオフショア開発の増加や多国籍メンバーでのプロジェクトが増えています。
それに伴い、プロジェクトマネージャーに英語を必要とする高年収の求人も増えてきており、英語を使える人と使えない人との差が拡がってきています。
メリットはプロジェクトを円滑に進められ、キャリアアップも狙えること
英語を使えるようになると、先ほどのデメリットはほとんど解消できます。
主なメリットは次の3つです。
- 最新の海外やIT関連の一次情報を知れる
- 英語が必要な案件に挑戦しやすい
- キャリアアップが狙える
最新の海外やIT関連の一次情報を知れる
英語圏から発信される最新情報を翻訳を待たずに取得できることは、大きな強みです。
近年では、DeepLやGoogle翻訳の発達によりWebサイトで自動翻訳機能がありますが、微妙な単語のニュアンスや文脈は自分で読んで把握する方が早いです。
新しいサービスが次々出るAWSでは、最新の情報は英語です。
公式サイトではドキュメント以外に最新リリースについての動画をあげていますが、こちらも英語のみです。
AWS公式サイトより引用
また、最新情報をいち早くキャッチすることで、プロジェクトのボトルネックとなっていることの解消や未知のリスクを知ることができます。
リスクマネジメントの観点からも英語が使えることのメリットは大きいでしょう。
英語が必要な案件に挑戦しやすい
英語を使えると、グローバルな案件にも挑戦しやすくなります。
特に、英語で話すシーンでの影響が大きいです。突然、英語での会議の場に呼ばれても、自信をもって話せます。
会議以外にも、普段のメンバーとの会話にも有効です。
海外メンバーとの会話内容をしっかりと把握できることはもちろん、英語を学ぶことで英語圏の人たちの考え方も知ることができます。
考え方を知ると、メンバーが「なぜその意見にいたったのか」を汲み取りやすくなります。
キャリアアップが狙える
多くの調査で英語力はキャリアに影響を与えていることがわかっています。
エンジャパンの「英語レベルと年収」についてのアンケートによると、ビジネスレベルの英語を持っている人のうち48%は年収1,000万円です。
また、グローバルなプロジェクトの経験を積んでおくことで、転職市場転職市場でも優位に立つことができます。
レバテックによると、PM(プロジェクトマネージャー)の求人倍率は29.5倍となっています。
英語ができるPMとなると、引く手あまたでしょう。
必要な英語スキルはスピーキングとライティング
PM(プロジェクトマネージャー)に必要な英語スキルはスピーキングとライティングです。
PMの仕事はマネジメントや課題解決をしていくことです。そのために会議に出席したり、情報収集したりしています。
PM本来の仕事を進めていくためには、プロジェクトの工程を進めるための資料作成や重要な会議の場で経営陣からの承認を得る必要があります。
それらのステップを進めていくためには英語で話すこと(スピーキング)と書くこと(ライティング)が得意であることが望ましいと言えます。
エンジャパンでのアンケートでも、英語上級者は仕事の場で英語を使うシーンの上位として次のものをあげています。
- Eメール
- レポート・資料作成
- 電話応対
- 社内会議
さらに、スピーキングとライティングを向上させると英語力を総合的に伸ばせます。
単純な話ですが、話す・書く場合には、表現したいことをどうやって英語で伝えられるかを把握しておかなければなりません。
必然的に、文法や英単語の意味、発音を学ぶことになります。
結果的にライティング・スピーキングを伸ばすことで、リーディング・リスニングも向上していきます!
まずは英検2級・TOEIC S&W 130点がおすすめ
求められる英語力の基準として、まずは英検2級・TOEIC S&W 130点台がおすすめです。
どちらの試験にもスピーキングとライティングが求められます。
社会人であれば、TOEIC S&Wがおすすめです。TOEICはビジネス英語を中心に出題されるため、勉強の成果が実務に活かしやすいでしょう。
TOEIC S&Wは毎月、多くの主要都市で開催されています。まずは、試験日程や開催される都市を確認してみましょう。
TOEIC S&W
- 実際に使われるビジネス英語を中心とした問題
- 円滑なコミュニケーション能力を評価
英検2級
- 高校卒業程度の英語力と想定した試験内容
- 教育、科学やテクノロジーなどの社会教養的な内容も含まれる
さらにキャリアアップをしたい人はTOEFLやIELTS
今後、さらにキャリアアップしていきたい人にはTOEFLやIELTSをおすすめします。
それは、海外MBAの取得のために必要だからです。MBA(Master of Business Administration)とは経営学修士のことです。MBAは経営に関する大学院と思ってください。
大手企業の役員などの重要ポジションに就いている人の多くは海外MBAホルダーです。
そして、海外MBAに挑戦する場合は、まず海外の大学に入学する必要があり、入学条件としてTOEFLやIELTSのスコアが求められます。
求められるスコアは大学ごとに異なるため、興味があれば調べてみましょう!
勉強方法は英字記事やオンライン英会話がおすすめ
最後にPM(プロジェクトマネージャー)に必要な英語スキルの勉強方法について紹介します。
ライティングとスピーキングを効率的に向上させていくには、次の方法がおすすめです。
- 英語が苦手な人は文法から
- 英単語は英文記事やオンライン英会話で学ぶ
英語が苦手な人は文法から
英語のスピーキングやライティングを伸ばしていきたいなら、英文法を学ぶことから始めてみましょう。
一般的には、学習に取り組みやすいため英単語の学習から始めることを推奨されていますが、私の経験からすると反対の意見です。
それは、英文法の基礎や型をしっかりと学んでおかないと、伝えたいニュアンスが微妙に変わってしまうからです。
簡単な例として「未来完了形」と「未来進行形」があります。
未来完了形
I will have finished the project by Friday.
(金曜日までにプロジェクトを完了させているだろう)
未来進行形
I will be finishing the project on Friday.
(金曜日にプロジェクトを仕上げている最中だろう)
未来完了形は「金曜日までに完了している状態」を示しますが、未来進行形は「金曜日にまだ作業中であること」を示しています。
微妙な違いですが、金曜日時点の進行状況に関して異なる印象を与えます。
このような小さな誤解やズレが作業状況の誤解につながるおそれがあり、プロジェクトに悪影響を及ぼすかもしれません。
ただし、英文法を意識しすぎて話すのに詰まったり、資料作成やメールの返信が遅くなったりしては本末転倒です。
正しい英文法を学ぶことを意識しつつも、ある程度のミスや間違いは割り切るようにすると良いでしょう。
英単語は英字記事や英会話から学ぶ
英単語は単語帳ではなく、英字記事やオンライン英会話から学んでいくことをおすすめします。
なぜなら、英字記事やオンライン英会話では自然な文脈での英単語の使い方を学べるからです。
英単語の語彙力(ボキャブラリー)を高めていくためには、もちろん英単語帳も大事です。
ただし、単語帳だけで勉強していると、単語帳で見た日本語訳で覚えることになります。
例えば、「book」と聞くと「本」をイメージしませんか?
bookは「本」以外にも「予約する」という意味があります。
book(本)
I bought a book.(本を買った)
book(〜を予約する)
I booked a seat.(席を予約した)
単語帳で英語の語彙力を高めていきながら、英字記事や英会話で自然な文脈での英語の使い方を学ぶと効率的に勉強することができます。
また、英字記事を毎日〜週に1回読むこともおすすめです。
英字記事と聞くと、イギリスのBCCやアメリカのTheNewYorkTimesといった著名なものを思い浮かべるでしょう。
もちろん海外事情を収集できるためおすすめですが、自分が興味のある内容のブログやコミュニティサイトもおすすめです!
私は、dev.toというデベロッパーコミュニティサイトをよく見ていますよ。
まとめ
PM(プロジェクトマネージャー)がキャリアアップしていくために、英語は重要スキルです。
グローバル案件の経験を積むことで年収アップを狙えます。
英語スキルを高めていくために、コツコツと続けることが大事です。
特にライティングとスピーキングは日頃から意識的に使っていないと、単語が出てこなくなることがあります。
習慣化するためには、オンライン英会話を始めてみることがおすすめです!
あなたもビジネスレベルのライティングとスピーキングを身につけたプロジェクトマネージャーになっていきましょう!
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